
📘投資初心者のための講義シリーズ
このシリーズでは、投資をゼロから学びたい方に向けて「かんたん・やさしく・本質的」にお届けしています。
~未来を変える一歩を、今日から一緒に踏み出しましょう~
「底を狙う」は幻想だ
こんにちは!
どうも、マイケルです!
前回は「リバウンド相場の見極め方」についてお話ししました。
短期的な上昇は魅力的に見えますが、それが“本当の底”である保証はない。
そんな話をしました。
では、今回のテーマはその続きです。
「底値を見極めて、そこで買うことは可能なのか?」
これは投資家なら誰もが一度は夢見ること。
しかし現実は、底をピンポイントで当てるのはプロでもほぼ不可能です。
とはいえ、まったく手立てがないわけではありません。
底に「近い」買い場を見極めるためのヒントは存在します。
今日はその思考法を整理していきましょう。
目次
なぜ底値は見極めにくいのか
底値を正確に当てることが難しい理由は、大きく3つあります。
1. 相場は予想より早く動く
たとえば、景気が悪化して株価が下がっているとき、多くの投資家は「もっと悪化するはず」と考えます。
ところが、市場は将来を織り込みに行くため、実体経済が底を打つ前に株価は反転を始めることが多いのです。
2. 感情に振り回される
下落局面ではニュースもSNSも悲観一色になり、「まだ下がる」という声が大半を占めます。
恐怖に飲まれて「今は買えない」と判断する人が多く、結局底を逃します。
3. 確認できるのは“後から”だけ
チャートを振り返って「ここが底だった」と分かるのは、反発がある程度進んでから。
リアルタイムでは誰にもわからないのです。
底に近づくための3つの視点
1. 需給面の変化を読む
- 出来高が急増しているか
- 連日の売りが止まり、下落スピードが鈍っているか
- 空売り比率が高くなりすぎている場合は、買い戻しが一気に入りやすい
これはプロ投資家がよく見るポイントです。
売り方が買い戻す瞬間、相場の潮目が変わることがあります。
2. 市場心理の極端さを確認する
- 恐怖指数(VIX)が急上昇し、30〜40台に張り付く
- 「株式市場は終わった」的なニュース見出しが増える
- SNSの投資界隈が総悲観ムードになる
人間の感情は極端に振れると逆方向に転換します。
多くの人が諦めた瞬間が、底に近いタイミングであることが多いです。
3. ファンダメンタルズとの乖離
- 株価が企業の本来の価値や配当利回りから見て明らかに割安
- 主要企業の決算が「悪くはないのに」過剰に売られている
- 金利や景気指標が底打ちを示唆し始める
割安度を測るPERやPBRも有効ですが、普段の平均と比べて明らかに低下しているかどうかがポイントです。
実践的な“底値接近”戦略
① 分割投資でリスク分散
「ここが底だ!」と一点集中するよりも、下落局面で複数回に分けて買う。
これにより、平均取得価格を下げながら底付近をカバーできます。
② 定期積立をやめない
毎月一定額を積み立てるドルコスト平均法は、意識せずとも底値付近で多くの口数を買える強力な武器です。
③ シナリオを事前に描く
底値を狙うより、「この条件が揃ったら買い増す」というルールを決めておく。
例:
- VIXが35以上で2週間維持
- 主要指数が200日移動平均線を下回ってから○%以上下落
こうした基準を事前に決めておくことで、感情に振り回されにくくなります。
失敗例から学ぶ
- 欲張りすぎ:「もう少し下がるはず」と思って買えないまま反発
- フルベット:一度の判断で資金をすべて投入して、その後の下落で大損
- ニュース頼み:報道を見てから動くと、すでに反発が始まっている
底値を狙う戦略は、必ず「外しても耐えられる」形にしておくことが大切です。
まとめ
本当の底値は、後になって初めて分かる。
しかし、需給・心理・ファンダメンタルズを組み合わせれば、底に「近づく」確率を上げることは可能です。
完璧なタイミングを狙うのではなく、ルールと分割投資で勝負する。
それが、長く相場に生き残るための現実的な戦い方です。
次回予告
『底値戦略の活かし方|長期投資に組み込む資産形成術』
次回は、この“底値接近戦略”を長期の資産形成にどう活かすかを解説します。
狙う投資から、組み込む投資へ
底値というイベントをあなたの資産設計に組み込む方法を掘り下げます。
底値は狙うものじゃない
拾うものだ
📚 投資初心者のための講義シリーズ
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- 【第6回】NISAはいくら投資すべきか?
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- 【第33回】底値戦略の活かし方【次回予告】
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