
📘投資初心者のための講義シリーズ
このシリーズでは、投資をゼロから学びたい方に向けて「かんたん・やさしく・本質的」にお届けしています。
~未来を変える一歩を、今日から一緒に踏み出しましょう~
暴落は、ある日突然ではなく、静かに始まっている。
こんにちは!
どうも、マイケルです!
前回は「天井圏の見極め方」について解説しました。
株価が“行き過ぎた”と感じるポイント。
出来高、チャート形状、投資家心理などを総合的に見て、「そろそろ危ないかもしれない」という高値圏の兆しを掴む方法でしたね。
しかし、高値圏を察知できても、そこから「本当に下げ相場が始まる瞬間」を見極めるのは別のスキルです。
今回は、その“下げ相場の入り口”。
つまり暴落初動のサインについて深掘りしていきます。
目次
暴落初動とは何か?
多くの人は「暴落はある日突然やってくる」と思いがちですが、実際にはそうではありません。
相場の下げは静かに、しかし確実に始まります。
最初は小さな変化で、目立たないことも多いですが、そこを見抜けるかどうかが資産を守る分かれ道になります。
暴落初動の特徴
(1) 出来高と価格のズレ
- 高値付近で出来高が急増 → 売り注文が増え、買いと売りがぶつかっているサイン。
- 高値更新しても出来高が減少 → 買い手の勢いが弱まり、上昇エネルギーが枯れている。
この段階では、チャートはまだ高値圏を保っていることが多いですが、中身はすでに弱っていると考えましょう。
(2) チャートパターンの変化
- ダブルトップ(同じ高値で2回止められる)
- ヘッド&ショルダー(3つ山を作り中央が一番高い形)
- サポートライン割れ(特に終値ベースでの割れは強い警戒信号)
これらは教科書的な下落サインですが、初動では「一瞬割れたが戻す」フェイントも多いので、出来高やローソク足の形も併せて見ます。
(3) 投資家心理の転換
- これまでの「買えば上がる」という空気が薄れる。
- SNSやメディアで「警戒」の声が増える。
- じわじわと利確売りが増え、上値が重くなる。
この心理転換は数字以上に大事です。
市場全体が「守り」に入り始める瞬間だからです。
テクニカルで見る“初動”サイン
RSI(相対力指数)
RSI(Relative Strength Index)は、株価が買われすぎか売られすぎかを0〜100で示す指標です。
一般的に70以上は買われすぎ、30以下は売られすぎとされます。天井圏では70以上が続くことが多く、短期的な下落リスクが高まります。
- 70以上の過熱圏から50を割る → 上昇トレンド失速の兆し。
MACD
MACD(Moving Average Convergence Divergence)は、短期と長期の移動平均線の差から相場の勢いを測る指標です。
MACDが急上昇し続ける時は相場が過熱していることが多く、天井圏では反転サインが出やすくなります。
- シグナルラインとのデッドクロス
- ゼロライン割れ → 中期的な下降トレンド入り。
移動平均線
株価の“平均”を線でつないだもの。
過去の一定期間(例:25日)の終値の平均を毎日更新していきます。
株価の流れをなめらかにして、上昇か下降かをパッと見で判断できる便利な線です。
- 短期線が長期線を下抜ける「デッドクロス」
- 5日線や20日線割れは短期の売りサイン
信用買い残の動き
信用買い残とは、証券会社からお金や株を借りて買い付けた株の「残高」のことです。
レバレッジをかけた投資なので、買い残が増えると短期間に大量の資金が市場に流れ込みます。
ただし、株価が下がり始めると、これらの投資家は損失を避けるために一斉に売る傾向があり、下落スピードが加速しやすくなります。
天井圏で信用買い残が急増している場合は要注意です。
- ピーク後に減少に転じると、含み損の投げ売り準備段階と見られる。
暴落初動での実践的立ち回り
(1) 逃げ遅れ防止
- 「まだ上がるかも」と思っても、疑わしいサインが複数出たらポジションを軽くする。
- 特に短期資金は早めの撤退が有効。
(2) 現金比率を上げる
- 下げ相場初期は買い増しではなく、守りを固める時期。
- 現金を確保することで、次の本格的な下げ局面で買える余力を持てる。
(3) ヘッジ戦略
- 長期保有株を守るために、インバースETFやプットオプションを利用。
- あくまで保険の位置づけで使う。
暴落初動を見抜くためのチェックリスト
- 出来高と価格の乖離があるか?
- 高値更新しても勢いが鈍っていないか?
- 明確なチャート天井パターンが出ていないか?
- RSI・MACD・移動平均線が下向きに転換していないか?
- 市場全体の空気が「警戒モード」に変わっていないか?
まとめ
暴落は、ニュースで大きく取り上げられる頃にはすでに後半戦です。
本当の勝負は、その前の「静かな初動」を察知できるかどうか。
株式市場は人間の心理で動いています。
だからこそ、数字やチャートだけでなく投資家の心理変化を掴むことが、初動見極めの最大のヒントになります。
次回予告
「リバウンド相場の見極め方|下げ相場の中の一時的上昇をどう捉えるか」
次回は「リバウンド相場の見極め方|下げ相場の中の一時的上昇をどう捉えるか」についてお届けします。
暴落後に訪れる“戻り”は、ただの反発か、それとも新たな上昇の始まりか。
その違いを見抜くポイントを解説します。
暴落は、足音を立てずにやってくる。
耳を澄ませ、守りの一手を打て。
📚 投資初心者のための講義シリーズ
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- 【第4回】S&P500と全世界株式の違い
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